コラム

生地の種類について (3) ナイロン生地・ポリエステル生地

生地の種類について第3弾となる今回は、特殊素材の生地の中からツクリエで取り扱っている「ナイロン生地」と「ポリエステル生地」について特徴や扱い方法などをご紹介します。

生地は綿や麻などの自然素材のもの以外に、化学繊維(化繊)があります。
化繊は主な種類として合成繊維・再生繊維があり、ナイロン生地とポリエステル生地は合成繊維にあたります。
合成繊維は石油を原料にして作られた繊維で、自然素材の繊維とは風合いや特徴、特性などが違います。
メリット・デメリットなどを理解して正しく使うと、とても便利な素材なのでぜひ参考にしてみてください。

ナイロン生地

ナイロン生地は世界で初めて開発された合成繊維で、開発された当初は主にストッキングに使われていて、とても軽くて丈夫な素材として広く知られている繊維です。

一般的な既製品として、バッグや雨具、小物やスポーツウエア、作業服など幅広い用途に使われています。

生地店や手芸店で見かけるソーイング用のナイロン生地は、少しシャカシャカしていてウエア用というよりはエコバッグやレインカバーなどに向いているナイロン100%のものが主流の様ですが、ナイロン生地は多種多様で、綿などと混紡で作られている生地もあるので、素材の混紡率や向いている用途などを確認してから、必要に合わせてお買い求めいただくのが良いでしょう。

ナイロン生地の特徴

〇軽くて丈夫

綿などの天然素材に比べて、とても軽量かつ頑丈な素材です。
摩擦にとても強く、その強度は綿の10倍近くと言われています。
擦れて破けてしまったりという事がほとんど無いので、重いものを入れるエコバッグやアウトドア用のグッズ、スポーツウエアによく用いられています。

〇耐久性が高い

繰り返しの使用や洗濯などで劣化する事が少なく、耐久性に優れています。
また原料が石油なので虫やカビも付きづらく、それも長持ちする理由になっています。

〇お手入れがしやすい

繊維自体に弾力性があり、洗ったり折り畳んだりしても元に戻ろうとするので折りシワなども付きづらく、型崩れもしないのでお手入れが簡単です。

洗濯は普通に洗濯機で洗う事ができます。一般的な弱アルカリ性洗剤を使って洗ってください。
混紡の生地の場合は異なる場合があります。ウエアなど既製品は洗濯表示に従ってください。
ナイロン生地は洗濯による色移りや、縮みもほぼ無いといっても良いでしょう。

〇吸水性が低い

水をほとんど吸わないので、肌に直接触れたり、よく汗をかくシーンで着用するウエアなどには使用しない方が良いでしょう。

しかし逆に言えば「水に強い」という特性でもあります。
ナイロンは撥水性があり、水がかかっても吸い込まないので、レインコートや雨具などに向いています。
洗濯した後、乾くのも早いので気軽にお洗濯も出来ます。
水を吸っての縮みもほとんど無いので、生地の水通しが不要なのもうれしい点です。

〇熱に弱い

熱に弱いのでアイロンはあまり向きません。使う時は低温で様子を見ながら少しずつかけましょう。
乾燥機は温度が高くなるので使用は避けてください。
また、帯電性が高いので静電気が起きやすいという特徴もあります。
特にナイロンとポリエステルの組み合わせは静電気が起きやすいので、冬場などは避けた方が良いでしょう。

〇日光による日焼けや色褪せが起こりやすい

日あたりの良い場所に干したり置いておいたりすると、黄ばんだり色褪せたりしやすい素材です。
日陰干しや日の当たらない場所での保管をおすすめします。

扱う時の注意

〇とても滑りやすい

ナイロン生地は、とても滑りやすいので注意しましょう。
待ち針は綿など通常の生地の時よりも、多めに細かく打つことをおすすめします。
裁断も通常の裁ちばさみで切ろうとすると、滑って刃から逃げてしまい切りづらい事があります。
そういった場合はロータリーカッターを使うのがおすすめです。
文鎮や錘などで、生地が動かない様に固定してから切るときれいに切れます。

〇折り目が付きづらい

折り目が付きづらい生地なので、縫い代を開く時や印付けをしたい時には、ヘラや爪などで少しづつ跡を付ける様にしてください。
ナイロンは熱に弱いため、アイロンはなるべく使わない方が良いのでご注意ください。

ナイロンに適した作品

  • エコバッグ、サコッシュ、レインコート・ポンチョ
  • 自転車かごカバー、雨用カバー
  • ベビーエプロン
  • シューズケース、体操服入れ、お着替え入れ
  • ランドセルカバー、ナップサックなど

縫う時に適した糸と針

  • ミシン糸…普通地用#60番手
  • ミシン針…家庭用ミシン針普通地用9~11号
    (ナイロンは繊維が細く密度が高いため、針が刺さる時にぷつぷつと音がすることがあります。そのまま縫っても問題ありませんが、気になる場合は針を薄地用9号にして縫っても良いでしょう)

水通し

不要です。

ツクリエのナイロン生地はこちらからご覧いただけます

ポリエステル生地

ポリエステルはナイロンと同じく合成繊維で、原材料はPETボトルの原料でもあるポリエチレンテレフタレートという化学物質です。

原料が手に入りやすいので、比較的安価で多く生産する事ができ、合成繊維としてとても優れた特徴を持つので、既製品のウエアや小物、インテリアグッズなど幅広く使われていて、化学繊維の中で生産量世界1位となっています。

ポリエステル生地は様々な加工を施すことが可能で、プリーツ加工やワッシャー加工を施した生地などあり、衣類用としてよく用いられています。

また、ナイロン同様に他の繊維と混紡した生地も多く生産されています。
綿などの天然素材と混紡した生地は、化繊ながらも手触りが良くしなやかなのでウエアによく用いられています。

ポリエステル生地の特徴

〇軽くて丈夫

ナイロンと同じく、天然素材の生地と比べて軽くて丈夫です。
繊維自体の強度が高く、濡れても強度は変わらないうえに、日光による日焼けや劣化もしにくいので長持ちします。

〇縮み・型崩れがしにくく、しわになりにくい

元の形を保つ形状安定性が高いため、洗濯を繰り返しても縮みや型崩れをしにくいので形がきれいなまま保てます。

そしてポリエステル生地は素材自体に弾力性があり、しわになりにくくアイロンをする必要があまり無いので、イージーケアな素材として衣類の既製品によく用いられます。

他にも日焼けしにくい、毛玉が出来にくい、劣化しにくい、虫が付きにくいなどの特徴もあり、長期使用や保管に適しています。

〇比較的熱に強い

化学繊維の中では比較的熱には強いですが、高温は避けた方が良いので乾燥機の使用は避けましょう。

ポリエステル生地も様々な種類があるので全てが乾燥機不可ということでは無いですが、基本的には使用しない方が安全です。
既製品の場合は洗濯表示をよく確認してから使用して下さい。
アイロンをかける時は、中~低温でテカリを防ぐためにあて布をしましょう。

〇速乾性がある

ポリエステルは繊維自体が吸水性が低いため、すぐに乾くという利点もあります。
汗などを吸ってもすぐに乾くのでスポーツウエアによく使われています。

〇色移りする時がある

ポリエステル生地は丈夫なので、普通に洗濯や保管をしても大丈夫そうに思えますが、色移りなど起こる場合があるのでいくつか注意したい点があります。

まず洗濯する時は、色落ちしないか目立たないところで確認することをおすすめします。
既製品の衣類などは必ず洗濯表示を確認してから洗うようにしてください。
そして洗濯時には、裏返して洗う、洗濯ネットに入れるなどすると毛玉や色移りを防ぐことが出来ます。

生地を保管する時も、通気性が良く高温にならない場所に生地同士を重ねて圧力がかからない状態で保管してください。

※ツクリエで扱っているポリエステル生地は昇華転写という方法でプリントしていますので、上記はその生地に合わせた説明です。

扱う時の注意

〇滑りやすい生地が多い

ポリエステル生地もナイロンと同じく滑りやすい生地が多いのでご注意ください。

〇静電気が起きやすい

静電気が起きやすい生地です。
ナイロンなどの化繊と一緒に使うとさらに起きやすいので避けるようにしてください。
洗濯時に柔軟剤を使用すると軽減します。

ポリエステルに適した作品

  • ウエア全般
  • バッグや小物、インテリアなど

縫う時に適した糸と針

  • ミシン糸…普通地用#60番手
  • ミシン針…家庭用ミシン針普通地用11号
    (ポリエステル生地は高密度なので縫い目に糸つれのように、しわが入ってしまう事があります。その場合、ミシン針薄地用9号を使用すると軽減されます)

水通し

基本的には不要ですが、色落ちが心配な場合は一度水通しをしておくと良いでしょう。

ツクリエのポリエステル生地はこちらからご覧いただけます

今回はツクリエで取り扱っている、化繊の中でもポピュラーな2種類をご紹介しました。
お使いいただく時の参考にしていただければ幸いです。

弊社オンラインショップでは、こちらでご紹介した商品以外にも、生地や手芸用品など多種取り扱っておりますのでぜひお立ち寄りください。ご来店お待ちしております。

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