コラム

生地の種類について (2) キルト生地・ラミネート生地

生地の種類について、コラム「生地の種類について (1) シーチング・ブロード・オックス・ローン・綿麻キャンバス」でご紹介をしましたが、今回はキルト生地、ラミネート生地といった加工した生地をピックアップしました。

普通の生地に比べて縫うのは難しそう、と敬遠されているというお話もよくお伺いしますが、特性を知っていればさほど難しくはありません。
どちらの生地も扱う事が出来ると作れるものも増えてソーイングの幅が広がります。

特徴や扱う際に注意した方が良い事、縫う時のコツなどがいくつかありますのでご紹介します。

キルト生地

生地と生地の間に綿などを入れて縫い合わせる事をキルティング加工と言い、そうして出来た生地を「キルト生地」と呼びます。

キルトでも、「シーチングキルト」や「オックスキルト」などの種類がありますが、これは表地に使った生地を表しています。

少し特殊なものでは、表地をニット生地にした「ニットキルト」や、ナイロン生地にした「ナイロンキルト」などがあります。

キルティング加工は様々な方法があり、格子のようなマス目状に縫い合わせているのが一般的ですが、マス目の大きさにも種類があります。

細かめに縫い合わせているものはしっかりとしてハリが出ますが、大きめに縫い合わせているものは綿があまり押さえつけられないのでふんわりとした風合いになります。
ツクリエで扱いのあるキルト生地は、縫い目(ステッチ)がマス目のものとストライプのものがあります。

マス目状のキルト生地

マス目にも大きさがあり、「半針キルト」と「全針キルト」があります。
上の画像は半針キルトで、マス目が約3.5cmくらい。全針キルトはその半分くらいです。
全針キルトは縫い目が多いので、しっかりとしてハリが出ます。
半針キルトは全針に比べると少し柔らかいです。

ストライプキルト

ツクリエのオリジナルブランド「milk latte(ミルクラテ)」のキルトはストライプタイプで、ステッチの幅が約2.3cmと幅広なのでふんわりとしています。

ストライプ状のキルトと言えば韓国のヌビキルトが有名ですが、こちらはヌビキルトよりも幅がだいぶ広くて綿のふんわりとした風合いが楽しめます。

デザインキルト

そしてmilk latteからは新しく「デザインキルト」も発売されました。
ステッチが柄模様になっていて、おしゃれでかわいいキルト生地です。
お子様の入園入学グッズにはもちろん、大人の方のバッグや小物作りにもおすすめです。

キルティング加工が違っても使い方は変わりませんので、お好みに合わせて選んでみて下さい。

milk latteのキルト生地はこちらからご覧いただけます

特徴

〇丈夫で軽い

手芸用のキルト生地は、表地にシーチングやオックスなどの厚手ではない生地を使用しているものが多いですが、中綿を入れて生地を縫い合わせてあるので生地だけの場合と違い、丈夫でハリがあります。

キルト生地1枚仕立てでバッグを作っても、形がしっかりとするので生地だけと違い、裏地や芯地を付ける必要がありません。
そして一般的には厚い生地は重いものが多いですが、キルトは中が綿なので厚い割に軽い生地になります。
しっかりとしたバッグを作りたいけど重くなるのは困る、という場合に適した生地です。
厚地ですが生地自体が硬いわけではないので、他の厚地の生地に比べて針が入りやすく縫いやすいのも特徴です。

〇保温性が高い

元々キルトは保温が目的で作られた生地で、コートや防寒具にも多く用いられます。
ソーイングでもよく作られるのは、コートやベスト、防寒用の巻きスカートなどの寒さ対策アイテムが多くあります。
綿の層が熱を逃がさないので、ティーポットカバーや湯たんぽケース、ミトンなどにもよく使用します。
冬用のソファーカバーやこたつカバーにもお勧めです。

〇縫いやすく、使いやすい

キルト生地自体の厚さはありますが、薄~中の生地と生地で綿を挟んで縫っていて、厚さはほぼ綿の部分なので硬い所が無く針が通り易く、家庭用のミシンでも縫えるので、デニムや帆布などに比べると気軽に使うことが出来ます。

そしてキルトは特殊な生地ではありますが、幅広いアイテムに用いる事ができ汎用性が高いのも良い所です。
バッグやケースなどで中に衝撃に弱いものを入れる場合に、キルトで作るとクッション性があるのもキルトの特徴です。
最近では小学生もタブレットを持ち歩く事が多いので、タブレットケースを作ったりスマホケースなどにも便利です。

キルト生地は扱いが難しそうに見えますが、入園入学グッズ作りに使用するなど初心者の方が扱う事も多い生地なので、ぜひ使ってみて下さい。

縫う時のコツ

厚さもあるので扱うのが難しいのでは、と思う方も多いようですが、使ってみると意外と気軽に使える生地です。
扱う時のコツをまとめましたので参考にしてみて下さい。

縫い始めの時に表地と裏地がずれてしまったり、中綿が出てきてしまう事がよくありますが、裁断した後にほつれ止めをすることでそれらを防ぐことが出来ます。

ほつれ止めとは、ミシンの裁ち目かがりやロックミシン、捨てミシンを掛けることを指します。
捨てミシンは、生地のふちの内側1~2mmを直線縫いで縫うことを言います。
そうする事で表地と裏地がずれなくなり、綿も出づらくなり縫い合わせが楽になりきれいに仕上がります。

キルト生地を裁断したらすぐにほつれ止めをすることをお勧めします。
裁断したままで置いておくとキルティングした縫い目がほどけてきたり、中綿が出てきてしまったりします。

そしてキルティングのステッチがほどけた部分はしっかりとほつれ止めで押さえるように上から縫ってください。
そうしないとキルティングのステッチ(縫い目)が後からほどけてきてしまいます。

※作品を作る時の注意

キルト生地は厚みがあるので、出来上がりの内側と外側のサイズに差が出てしまい、予定より小さくなってしまう事がよくあります。

入れるものが決まっている場合などは1~2cm(目安です)ほど大きめに裁断しておくと良いでしょう。
大きめから小さくすることは出来るので、一回りくらい大きめに本体だけ作ってみて大丈夫かどうか確認してから縫い進めるのも方法の一つです。

キルトに適した作品

  • バッグ・ポーチなど。タブレットケースやスマホポーチ
  • レッスンバッグやシューズバッグなどの入園入学グッズ
    ※口を絞る巾着などにはあまり向いていません。(ナップザックを除く)
  • ソファーカバーや敷物。ケースや小物入れ
  • コースター・ポットカバー・ミトン
  • コートやジャケット、防寒スカートなど

縫う時に適した糸と針

  • ミシン糸…普通地用#60~#30(番手)(キルティングしている糸に合わせると目立ちにくいです)
  • ミシン針…家庭用ミシン針普通地用11号~14号(使用している表地に合わせるのがお勧めです)

水通し

する事をお勧めします。
水通し不要な素材(ポリエステル、ナイロンなどの化繊)を使ったキルト生地は除きます。

全体がしっかり水を吸うようにたっぷりと浸して、ぎゅっと絞らない様に水を切り、陰干しをしてください。
中綿は生地よりも渇きづらいのでとても時間がかかります。
濡れた状態だと綿がよれたりしてしまいやすいので、ご注意ください。
水通しは裁断前に切りっぱなしのところだけをほつれ止めしてから行ってください。

ツクリエのキルト生地はこちらからご覧いただけます

ラミネート生地

綿または麻の生地に塩化ビニールでコーティング加工をした生地です。
ラミネート生地という呼び方以外にも、「ビニールコーティング生地」や「ラミ生地」などと呼ばれることもあります。

特徴

〇防水性が高い

ラミネート生地の特徴として最も認識されているのが防水性の高さかと思います。
生地にビニールコーティングをしている為、水を通しにくいのでテーブルクロスやランドセルカバーに用いられることが多い生地です。

水がかかっても払えば落ちるので、雨の日用のバッグやカバーなどに使うのもお勧めです。
ただし、防水性が高いのはビニールコーティングをした面だけになります。

一般的にラミネート生地は、表面だけをビニールコーティングしたものが主流なので、裏側はコーティングしてない生地のままの場合がほとんどです。
その場合、濡れた物を入れると内側の生地が水を吸ってしまいます。
表側はコーティングしているので外に水が染み出ることはないですが、内側は濡れた状態になってしまいますのでご注意ください。
そして濡れてしまった場合はしっかりと乾かして下さい。
湿ったままにしておくとビニールコーティングの剥離に繋がる場合もあります。

テーブルクロスとして使用する際は、食品や飲み物をこぼしても染みこみにくいので拭くだけでお手入れが出来ます。(色の濃いものをこぼしたままにしておくと色が染みついてしまうのですぐに拭きとってください)

染みこみにくいので汚れが付きにくく、長く使っていてもコーティングしていない生地に比べて汚れが目立ちにくいので長く使うことが出来ます。
汚れた時は表面を固く絞った布でテーブルを拭くように洗ってください。

洗濯機を使うとビニールコーティングが剥離してしまい、剥がれてきてしまいますので止めましょう。
洗剤も使用しない方が良いでしょう。落ちない時は食器用などの中性洗剤を布に少し付けて拭くなどしてください。
手洗いも水の中でジャブジャブ洗うのは避けた方が良い場合が多いです。

ラミネート加工にも種類があり、水で洗っても剥離しにくいものもあれば、しやすいものもあります。
洗う時は同じ生地のハギレなどでお試しいただいてから洗うのが安全です。

そして防水性が高いという事は、通気性が悪いという事にもつながります。
ウエアやファッション小物など、身に着けるアイテムには不向きですのでご注意ください。

〇耐久性が高い

ラミネート加工していない生地で作ったものに比べると、仕上がりがしっかりとしていて重い物を入れるバッグなどにも向いています。
ビニールコーティングする事で生地自体が伸びる事も防げますし、形も崩れにくいです。
仕上がった後の型崩れもほぼしないので、普通の生地に比べて長く使ってもしっかりとした形を保つことが出来ます。
擦れにも強いので擦り切れたりせずに長くお使いいただけます。

〇しわになりにくく、ほつれにくい

生地にしっかりとビニールコーティングが施されているので、切りっぱなしでも糸が解れることがほとんどありません。
その為、縫う時のほつれ止めが必要ないので、縫う工程が少なくて済みます。
テーブルクロスや敷物として使用する時には切りっぱなしでお使い頂いても問題ありません。
しわになりにくいのもうれしいところですが、ご注意いただきたい部分もあります。
保管するのに折りたたんだままで長い時間が経ってしまうと折れた部分が白っぽく跡がついてしまう事があります。
これはコーティングが少し剥離しかけてしまっている状態です。
そういった場合には、生地の裏側(ビニールコーティングしていない面)から、あて布をして低めの温度で優しくアイロンをかけるのがお勧めです。
基本的にはビニールなのでアイロン不可の生地ですので、様子を見ながら少しづつ当ててください。
コーティングした面が溶けてしまわない様にご注意ください。

縫う時の注意

〇待ち針が使えない・縫い直しが出来ない

針を刺すとビニールコーティングした表面に穴が空いてしまい、跡が残ってしまいます。
縫い代になる部分に穴が空くのは問題ないので、待ち針を使う時は仕上がった時に表に出ない部分に刺すようにしましょう。
そして縫い直しなども跡が残るので出来ないと思っていただいた方が良いでしょう。(待ち針と同じく、縫い代部分に跡が残るようでしたら問題ありません)

待ち針は裁縫用の洗濯ばさみの様なクリップが市販されていますので、そういった専用の道具を使うか、文房具のクリップなどを代用するのも良いと思います。

〇縫う時に滑りにくい

ラミネートコーティングには種類があり、表面に光沢がある「つやあり」と、表面が少しザラっとして光沢が少ない「つや消し」があります。

つやありのラミネート生地の場合、縫う時にミシンの台や押さえにくっついてしまい、縫っても生地が動いてくれずに縫いづらい事があります。そういった場合は、手芸用品店に専用のシリコンスプレーなどがあるので、それをくっつく部分に吹き付けるとスムーズに滑って縫いやすくなります。

ミシン用のテフロン製の押さえなども販売されていて、ラミネート生地を縫う時に便利です。
複数のメーカーから「テフロン押さえ」や「スムース押さえ」という名前で販売しているので探してみて下さい。

他にはトレーシングペーパーを挟んで縫う方法もあります。コーティングしている面にトレーシングペーパーをあてて一緒に縫って、縫い終わった後でペーパーを取り除きます。

つや消しタイプはつやありに比べて滑りやすく、厚めの生地を縫う時に近い感覚で縫う事が出来ます。
ただやはり普通の生地よりも滑りづらいので、縫い目を大きめにしてゆっくりのスピードで縫う事をお勧めします。

〇生地が硬く・針が通りづらい

ビニールコーティングしていない普通の生地に比べて、ラミネート生地は硬い生地になります。
ソーイングの場合、箇所によっては生地が何枚か重なってしまって、厚くなり硬さが増す場合もあります。

そういった時は無理に縫おうとしないで、ミシンのスイッチをオフにしてはずみ車(右側面の丸い、縫っている時に回るところ)を手で回してゆっくりと針を動かして縫いましょう。

そしてミシン針が折れないようにと針を太くし過ぎてしまうと、生地に針が通る時に力が掛かり過ぎてミシンへの負担が大きくなってしまう事があります。
生地に適した針で縫うようにしましょう。

ツクリエのラミネート生地は全て、縫いやすい「つや消し」タイプなので、ラミネート生地初心者の方にもお勧めです。

ラミネートに適した作品

  • バッグ・ポーチ・ランドセルカバー
  • テーブルクロス・ランチョンマットなど

縫う時に適した糸と針

  • ミシン糸…普通地用#60
  • ミシン針…家庭用ミシン針普通地用11号
    (生地がキャンバスなど厚地の場合は、糸#30、針14号がお勧めです)

水通し

不要です。

ツクリエのラミネート生地はこちらからご覧いただけます

生地の種類は素材も含めて多種ありますが、今回は使い方などによく質問をいただくキルト生地とラミネート生地をご紹介しました。
お使いいただく時の参考にしていただければ幸いです。

弊社オンラインショップでは、こちらでご紹介した商品以外にも、生地や手芸用品など多種取り扱っておりますのでぜひお立ち寄りください。ご来店お待ちしております。

ツクリエの生地のご購入はこちら